【中編】夢幻華
でも…そんな子どもの我侭もいつか終わる時がきた。

百合子さんと付き合うようになって暁は変わった。

それまでは、寂しい時や悲しいときはいつだってあたしを抱きしめて眠ってくれた暁。

でも、百合子さんと付き合うようになってからは、決してあたしと二人にならなくなった。

そう、暁はあたしと二人きりになること避けていた。

もしかしたら無意識なのかもしれない。

それとも、あたしと二人きりだと、百合子さんを裏切る気持ちになるのかな?

あたしがどんなに頼んでも、一緒に寝てくれる事は無くなった。

あたしがどんなに泣いても、抱きしめてくれる事はなくなった。

暁の心はもう、あたしから離れてしまった。

もう、百合子さんだけのものなんだ。

悲しくて苦しくて…今までの暁の彼女たちに感じた嫉妬など、比べものにならないほどの感情が湧きあがってきた。
あたしってこんなに醜い心を持っていたんだと思った。


暁を返して――


心がそう願って止まなかった。


暁が好き…


ううん、愛している。




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