JUNKETU ~首筋にkissの花~
「おはよ、ハル」
「おはよう」
「おはよ―」



学校に着くと既に二時間目の終わっていた。

遅刻の理由を教師に訊かれたが適当(腹痛とか)に答えてやり自分の席に座ると。



「おはよう?ハ―ルくーん、今何時でしょう?」


声色は明るいが若干怒りのオーラを感じる。


「うっ…市丸」



市丸 純。
黒髪のその女子は今朝のアイツその人で、



「このままだと本当に卒業させてもらえないんだからねっ!」


「うるせーなぁ…」


「なっ!あたしは君のおか……ん、ぐっぅ」



……………!!!


あの単語を吐き出そうとする市丸の口を押さえつけて



「市丸、具合悪いのか?そうか保健室行くか?」

「んっ…」



引き摺るように教室から連れ出した。






「お前さぁ…」


「……すいません」



使っていない教室に押し込んで睨み付ければシュンッとして項垂れ、小さく謝罪の言葉を呟いた。



オヤジが連れてきたコイツは戸籍上は俺の母親になってはいるが、ソレは勿論非公開の事実。

学校では絶対に知られてはいけない事。


なのにコイツは、



「だって、お母さんに向かったてウルサイとか…」

「誰がお母さん?」

「あたし」

「認めねぇって言ってんだろ」

「なんで?あたし頑張ってるのにぃ!」


床にペタンと座り込んでイジイジと指先ど床に文字を書く。



母、母、母、母、母…
と文字を書きながら



「ハル君ってさ、あたしに冷たいよね。これでも、あたしはお母さんなのになぁ。それとも世間一般的に思春期の男子の母親ってこうゆう扱いされてるのかな?」


ぶつぶつと独り言を吐く。



「コレのドコが世間一般的なんだよ?」

「あぁ!人様を指差しちゃいけません!」



自分を母親だと主張するヤツは(俺は認めないが)膨れっ面で俺を見上げた。


まるで小動物みたいな目のソイツを見下ろすとブラウスの襟元に赤い傷痕に目が行く。



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