ゴスロリ彼女のキスの味
「とにかく、その果物ナイフを渡してくれないか?」
おれは果物ナイフを渡してもらおうと、手のひらを出す。
ゼロの私服が入った紙袋と日傘は蛇腹状の柵のところに置いてきた。
日傘は万が一のときの武器として隠し持ってきたほうがよかったかもしれない。
「嫌よ」
倉吉は腕組みをしてご機嫌ななめのポーズ。
「ゴスロリのことはともかく、冷静に話し合おう」
「田中君、盗み聞きしてたんでしょ?余計な説明をする手間が省けてよかったわ。話し合う必要なんてないわ」