ゴスロリ彼女のキスの味


「ごめ……んね……さ、殺人犯にしちゃって……」

 ゼロは力なく笑う。


「いいのかこれで?悔いは無いのか?」

 おれはゼロの体を揺さぶりながら尋ねる。


「た、た……田中君……」


「なんだ?」


「あ、あなたが……想って……いるより……私は田中君のことが……す……好き……な……」

 ゼロは卑怯な言葉を残して目を閉じ、ガクッと首を垂らす。


 体から血が流れているのに、ゼロの顔に人間らしい心が戻ったように思えた。

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