ゴスロリ彼女のキスの味


 顔に深い傷をつけられた恨みを晴らしにゼロを襲うことは予想していたが、おれを刺した行為を悔いた表情は顔の傷より深そうな気がした。


 顔半分の包帯を取った姿は、一生他人に見せることはないだろう。


「助けてくれたのね」

 感謝の言葉は落ち着き払っていた。


「ゼ、ゼロ……」

 ゴスロリファッションでスカートを穿いている姿はゼロに見られたくはなかった。


「ゴスロリ禁止法が廃案になったとはいえ、大人達は警戒しているわ。公園の出入口に警備員がいたから倉吉さんが捕まる可能性は高いわね」

 おれが助けに来たことにもっと驚くと思っていたが、ゼロの口調は腹が立つくらい冷静そのもの。

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