ゴスロリ彼女のキスの味


 キスは終ったが、おれと彼女の唇の間には運命の赤い糸のように粘性の唾液で繋がれる。


 それを見て彼女は「フフッ」と満足げな声をもらす。


「気が済んだか?」

 返ってくる答えはわかっていたが、尋ねた。


「ククク……」と、彼女は引き笑いで返す。

 彼女がどんな顔をして笑ったのか、辺りが暗くてわからない。


 いや、彼女のおぞましい笑顔を見れなくて逆に助かったのかもしれない。


 きっとおれの未来への光を断ち切る冷酷な笑顔を浮かべているに違いない。


 我慢して耐えていれば、暗闇の先の眩い光に辿り着けると信じていたのに……。

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