ゴスロリ彼女のキスの味
夕方、カラスの鳴き声で目が覚めた。
マンガの週刊誌が安眠マスクのように顔にのっていた。
結局どこにも出かけず、貴重な休みをポイッとゴミ箱に捨ててしまった感じだ。
晩御飯は用意してあるのかな?
おれが冷蔵庫に向かおうとしたとき、電話が鳴った。
ケータイではなく、また固定電話の方だ。
「はい……」
『田中君のご自宅でしょうか?』
かけてきた相手は若い女の声で、おれが“田中です”と言う前に尋ねてきた。