Cygnus
ゆっくりと
こちらに向かってるいてくる
男性

しなやかに伸びた手足に
無駄のない細い体


その男性の顔が見えた時

私の時間が一瞬止まった気がした


「どうですかな?河野君。」

松尾さんの言葉に
男性は
整った顔にかかる
シンプルなメガネをクイッと
押し上げた


「…素晴らしいと思います。
こんな風にわざわざ気を遣っていただいて
大変恐縮です。」


流れるような言葉に
優美な頬笑み





……
…まさか…


和やかな雰囲気の中で
私だけは
一気に冷たくなっていく
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