学園(姫)

そこはかとなく

いつものように朝に起床し、学校の用意を済ましてキッチンに向かう。

「おはようございます」

渚さんが笑顔で出迎えてくれる。

「おはよう」

机の上にはすでにご飯が出来ているようだ。

俺は座って食べ始める。

「吟ネエは?」

「今日はまだ寝ているようですよ」

「そうか」

俺はパンを食べ終える。

今日は早く行く事が必要なのだ。

出来る限り早めに乾に会っておいた方がいいだろう。

「吟ネエには先に行くって言っておいて」

龍先輩の事だから早くに学校に来る事は間違いない。

「今日は急いでるんですか?」

「ちょっとやる事があってね」

歯磨きを終えた後に髪をセットし、家を出ようとする。

「丞さん」

「え、あ、はい?」

玄関のノブに手をつけたところで、渚さんに呼び止められた。

「怪我だけは気をつけてくださいね」

渚さんは何か起きる予感をしているのだろうか。

渚さんに心配させちゃ駄目だよな。

「分かった。これからは慎重に動くようにするよ」

「私にも何か出来る事があれば、言ってください」

「渚さんは優しいなあ」

涙が出そうになる。

「ふふ、では、いってらっしゃい」

「いってきます」

俺はノブを回して、学校へと向かった。
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