きいろい青空【完】
花恋*
本当は、まだ理解出来ていない。
“颯が…死んだ…?”
そんなこと、わかるわけが無い。
「ケータイ。見てみる…?」
お父さんから受け取った颯のケータイ。
ボロボロで傷だらけになってしまっている。
事故の中で、よく無事に残っていたなぁ。
「大丈夫?見ても」
心配そうに訊いてくる直輝。
「大丈夫…っ」
わざと声を明るめに。
無理矢理でも笑ってないと…ダメだ。
不安と恐怖で、おかしくなりそうで…
病院を出てふたりで歩いてきた。
1歩後ろを直輝が歩く。
直輝そのものが久しぶりに感じた。
その時、街に流れているクリスマスソングが聞こえてきた。
あぁそうか。
今日はクリスマスだった…
12月25日。
街はクリスマス一色で、みんな笑顔でうちの横を通る。
なんというクリスマスだろう…
愛するふたりが過ごす夜だというのに、愛する人は死んだ。
急に体が震え始める。
「じゃあ…み、見るよ…」
「うん…」
颯のケータイは、ギコギコと鈍い音をたてて開く。
真っ二つに折れてしまうんじゃないかと思い慎重に。
開いて見たら、メールの本文入力がでてきた。
まだ、作成の途中だということがわかった。