きいろい青空【完】

「…彼氏…だから」




「直輝バカじゃん！！つーちゃんは、あんたのこと好きじゃないんだよっ！？直輝は騙されてたんだよ？わかってる？」





「そんなこと。初めからわかってて、付き合った」





思いもしない言葉を返された。



直輝はわかってたの？




「えっ…わかってたの…？」




つーちゃんが恐る恐る声を出した。





「うん、わかってた。颯さんの元カノだって事も知ってた」





「じゃあ、なんで付き合ってんの？なんで別れないのっ？」




声を上げうちは訊いた。



意味がわからない。




「俺は自分から別れを言いたくない。翼には感謝しているんだ」




真剣な顔をし答えた直輝。


この言葉の意味がわからない。




「何、きれいごと言っちゃって。勝手にすればいいじゃん、ふたりとも…」





そんなことを言って、つーちゃんを責め立てても…。



颯はいない。


何を言っても颯は戻ってこない。





「ねぇ…どうして、ペアリングなんか返しにいったの…？行かなければ颯は死ななかったのに…」



つーちゃんのシャツを掴んだ。




「ねぇ！颯を返してっ！！！颯を返してよ！うちの颯を…っ！」




つーちゃんを大きく揺すった。


叫びながら。




「ごめん…ごめんなさい……」



それしか言わないつーちゃん。




ごめんじゃ済まないんだよ？


颯は死んじゃったんだよ？



本当にその意味わかっているの…？