きいろい青空【完】



本当に竜也のことが、好きだった。



“竜也”に恋をしていた-----。





「わかってるよ。でも、花恋の中には、もう別の男がいるんだろ?…そいつと幸せになれよ」



「あり…がとう…」



竜也と軽く、ぎゅっと抱きしめ合った。




「竜也も幸せになってね?」



「俺は、女に困ってねぇーから平気っ」



「あははっ。そーだね」



竜也も微笑んだ。



この笑顔が好きだったなぁ…





「じゃあ…ほら」



竜也の目線の先には、従業員の姿が見える。



ゴンドラが地上へ到着してドアが開いた。



うちはここで降りるんだ…



竜也から離れ、降り……た。




「竜也っ!」



地上に降り立ち、振り返って思わず叫んでしまった。



しかし、竜也を乗せたゴンドラはもう動き出していた。



「…バイバイ。」



もう、竜也には聞こえないけど

そっと呟き、手を振る。




「………っ竜也…」



竜也は、ずっとずっと手を振り返してくれていた。


笑って。




あんな最低な疑問の答えを探していた自分がムカツク。


こんなにも分かり切っている答えなのに…


どうして探し出せなかったのだろう。





こんなにも竜也が好きだったのに…。





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