空に手が届きそうだ
幸せな、時間
───……
─……
「優、着いたぞ。」
「えっ、あっ、うん……。」
ん~と、大きくのびをする。いつの間にか、寝ていたらしく少し体がダルい。
「いつから、寝てた?」
「スーパー出て、ちょっとぐらいだな。」
深は、入れておいた、MDを取り出して元あった所へ戻した。
「ごめん。」
「いいよ。」
エンジンを切って、シートベルトを外す。それに、釣られて優も外へ出た。
久し振りの外は、少し眩しい。
「鞄、持ったから。」
「えっ、うん。」
車越しに見る深は、また違って優しく感じた。
「大丈夫か?」
すらっとした体に、似合わないスクールバック。
「うん。」
そっと、マンションの方を向いてゆっくりと歩く。
「久し振りに来る。」
「だろうな。」
最近建てられた、高層マンション。
玄関に並ぶポストを、確認してから入る。
深から、鞄を預かろとすると、いいからと拒まれた。
「何階だっけ?」
「三階。」
深に続いてエレベーターに乗る。
「大丈夫か?」
「えっ、うん。」
ほんの少し、深の後ろに立った。
「今日は、泊まるだろ?」
「うん……。」
「明日の朝飯頼むな。」
チン、と音がしてエレベーターが止まる。
「あ、うん。何がいい?」
< 56 / 96 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop