空に手が届きそうだ
一瞬、空気が迷う。
「そうだね、またこよ」
その声に、同意したのは優だった。
「でも、」
と、引き下がる風花。
「私に会うのは、風花最後だもんね。」
「うん。」
「じゃあ、約束。」
ゆっくり、風花の前に立った。
「今度、帰ってきた時には一番に風花に連絡する。」
「………わかった。」
少し、寂しそうな顔。
指切り、と小指を立てた手を差し出す。
「ううん、いい。優は、ちゃんと約束守ってくれるから」
「ありがとう。」
きゅっ、と風花を抱きしめた。
「風花なら、大丈夫。夢、きっと叶えられるよ。」
「ありがとう、優。」
そっと離した体は、寂しい気がした。
「帰りますか?」
「うん。」
みんなで、公園の外まで行く。
深は、そそくさと先に行ってしまった。
「優は、これからどうするの?」
「マンションに帰る。」
「優の?」
「うん。元々、私の家でご飯作るつもりだったらしいから」
「へぇ~。愛されてるんだね。」
羨ましいそうに、良子が言った。
「今度、優と深さんのツーショット撮りたいな。」
「え~ヤダ。」
気づけば、公園の入り口。
「考えといてね」
「わかった。」
ゆったりと、誰もが次の言葉を探す。
「ありがとう。」
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