鏡の中の僕に、花束を・・・
「ふ、ふざけるな!」
向こう側で声を出すのは、かなりツラい。冷たいものが入り込み、肺を痛める。たった、一言が地獄を味合わせてくれた。
「ぶばっ!」
ただ、これはある意味良かった。逃れようと、意図しない力が入った。結果、向こう側から抜け出れたのだ。
ただ、奴の手からは逃れられていない。奴の力は相当に強い。
「放せ!放せよ!」
「・・・。死ね。死ねばいい。」
「放せって言っているのが、わからないのか?」
「死ねばいいんだ。死ねばいいんだ。」
奴は狂ったように繰り返した。
「なんで、死ななきゃいけないんだよ。」
「死にたいと思っていたろう?」
ハッとした。確かに死にたいと思っていた。しかし、今は違う。死にたくない。その想いが僕を埋め尽くしている。生きている事の素晴らしさ、それしか頭の中にはなかった。
「思ってない。」
「思ってた。」
「思ってないって。」
「思ってた。」
不毛な繰り返しだ。互いの意見が交錯するはずはない。
その間も僕は逃れようと、必死だった。抗い、生きる選択をしていた。しかし、状態は好転しない。体勢のマズさはどうにも出来ないからだ。
対応を考える余裕すらなくなってきた。次第に疲れが、体を支配し始めていた。
苦痛は続く。助けはない。
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