ヒーロー フロム ザ アトランティス
バック・トゥ・ザ・アトランティス





バルセロナの沖合い数百メートルで、船上前夜祭が行われていた。



ゲストは各国のビップ、そしてオリンピック首脳陣だった。



招待客の中には世界中の王室・皇室・政財界の代表者たちがひしめいていた。



パーティーが終盤に近づくと、海上に花火が上がった。



招待客はこぞって甲板に乗り出し、わざわざ日本から呼び寄せられた花火師の打ち上げに喝采を贈っていた。



C国のハルクン皇太子は、テーブルでもうろうとしていた。



「殿下、召し上がり過ぎですよ」


ボディガードは、よもやウエーターに扮したFBIが皇太子のシャンパンに薬を溶け込ませていたなどとは考えもしなかった。



五連発の尺玉の打ち上げ音に紛れて、ウエーターがボディガードに一発かました。



あえなくのびたボディガードを、ウエーターは抱きかかえるようにしてイスにもたれかけさせた。



同時に夜の海上を静かに泳いできたアメリカ海軍の精鋭たちが、皇太子を誘拐しにステップを上がってきた。



ところが事態が一変した。



ドオーンという花火とは違う爆発音が船上に響いたのだ。



招待客は一瞬呆気に取られたが、二発目の爆発音が機関室で炸裂し同時に船体が傾くと船上はパニックに陥った。




< 82 / 88 >

この作品をシェア

pagetop