天国からのメール
「わしが予言できるのは、一人一回。理由はわからん」


「もう当てる自信がないから言ってんじゃないの?」


聡がからかって言う。


「違う。でも、これだけは言える。お前さんの彼女が死んでから丁度丸二年が経った日、何かが起こる」


老婆は聡の目を真っ直ぐ見て言った。


「え……明日?何が起こるんだ?」


聡はそんなことあるわけがないと思いつつも、なぜか胸が苦しくなった。


「良いことじゃよ。楽しみにしてるといい」


老婆はそのとき、初めてニコッと笑った。


「わかった、ありがとう。なあ、またここに来ていいか?」


聡は椅子から立ち上がると、老婆にそう言った。


「残念だけど、わしは一応旅人でな。もうここにはおらんよ。今日ここへ来たのも偶然。もう二度と会うことないと思うが……また、どこかで逢える日を楽しみにしとるよ」


「……わかった。じゃあ、元気でな」


聡は笑顔を見せると、老婆に背を向けて歩き出した。


「占いか……バカバカしい」


と言いつつも頭の中にさっきの老婆の言葉が残り、聡はその夜、なかなか寝付けなかった。
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