天国からのメール
「まだ来てねぇみたいだな」


竜太が辺りをキョロキョロしながら言う。


「ゲッ、電車来たぞ!」


和樹が後方の微かに見える電車の音に気づき、指を差してそう言った。


「マジかよ……慎一のヤロー、遅刻したら承知しねぇからな」


竜太が苛立ちを抑えられずそう呟いた。


そのとき、ホームに向かってナヨナヨと走ってくるベースを背負った男が薄っすら見えた。


「あ、慎一!」


それに気づいた聡が言った。


「何やってんだよ、急げ!」


竜太が手招きしながら、遠くの慎一に叫ぶ。


慎一はハアハアと息を切らしながらメンバーの所に到着した。


「ゴメン、家の鍵が失踪しててさ」


原田慎一。ベースを担当していて、黒髪の短髪。


いつもルーズな格好をしていて、小太りだ。性格も見た目通り、いい加減。


「そればっかじゃねぇか!」


竜太が慎一の頭をパコッと殴る。


「痛!痛いなぁ、殴ることないじゃん」


「うるさい、俺はお前のそのいい加減な性格が嫌いなんだよ!」


「まぁまぁ、落ち着けって。ほら、電車来たぞ」


キレる竜太を聡が制すと、四人は電車に乗り込んだ。


バンド名、『WORLD LINE』。


いつか世界中を飛び回るようなビッグなバンドになりたい、そんな意味で竜太が付けたバンド名だ。
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