白銀の女神 紅の王



後宮って一体何のことだろう……

10歳から賭博場にいた私にとっては初めて聞く部屋の名前。

頭に疑問符を浮かべながら男に連れられる。




しかし大きな屋敷ね……


行けども行けども後宮と言う部屋につかない。


どこかの貴族のご子息か何かかしら……


所々に飾られている絵画や調度品の数々から、かなりの地位にいる者だと言うことは私にも分かった。





そんな見ていて飽きない屋敷の内部をくるくると見廻していると――――


「着いたぞ」

男の声で我に返る。


「ここが後宮…?」

扉を開いた先にある部屋に息を飲んで押し黙る。



後宮と言う部屋は賭博場が何個も入りそうなくらいに広く、天井も高かった。

部屋をぐるりと見渡してみれば、天蓋付きの大きなベッドに、ベルベット素材のソファー、床に敷き詰められたふかふかの絨毯など、どれも高級そうな調度品が設えてある。


< 38 / 531 >

この作品をシェア

pagetop