白銀の女神 紅の王



目を泳がせるようにキョロキョロとしていれば…



「ったく、お前は心が広いんだか狭いんだか。」

「本当ですね。」


呆れた様なデュークの言葉に、クスクスと笑うウィル。

その言葉の真意は分からなかったが、シルバをからかっている様子。

それを良く思わなかったのか、シルバはフンッと機嫌を悪くし、その場を離れようとする。




「行くぞ、エレナ。」

「はい!」


やや低めの声で呼ばれ、反射的に返事をする。

そして、行くぞと言うなり、地下牢の出口に向かい始めるシルバの後を慌てて追った。




タッタッタッ……―――――


数歩駆け出した所で、止まる。


振り返り――――



「ジェス……また、どこかでね。」


これが最後じゃないって、信じてる。

またどこかで会える…という想いを込めてジェスに微笑んだ。




「あぁ……」


そう言って穏やかな表情で微笑むジェスを記憶にとどめ、地下牢を出た―――




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