誘拐犯は私の彼氏!?
荒々しい足音と共に、主犯の苛立ちが伝わってくる。
焦りと苛立ちが隠せない様子で、足早に近づいてきた主犯は私の手元に目をやった。
ナイフを隠しきれなかったのは私の落ち度だろう。
握りしめた手からはみ出したナイフを見た反応は、予想よりはるかに素早かった。
大きくひきつった目がこちらを睨んだ瞬間、私の頬に熱い衝撃が走る。
口から垂れた生温い液体が顎を伝う。
痛みを感じたのは、熱いと感じた少し後だった。