誘拐犯は私の彼氏!?
なんで?
私の……お見合い?
強引に?
私、そんなこと聞いてない。
心の奥から、沸々と怒りと不安が噴き出してくる。
それは私にはどうしようもなくて。
とっさに、彼の顔が浮かんだ。
お見合いなんてしたくないよ。
あまりの言葉に、立ちつくす私。
だって、
お見合いなんかしたら…。
…だから、
みんな、元気がなかったんだ。
手に持った着物を見る。
赤色と金色のきれいな着物。
…だから。
父様は元気がなかったんだ。