誘拐犯は私の彼氏!?
受け取ったココアを飲みながら、私は邦人さんに何も言えない。
だって、全部覚えてる。
強盗の事、女の人の事、
真幸の事………約束の事。
全部全部、説明なんてできない。
あんまりにも、驚くことばかりで。
私がうつむいて、沈黙が続く部屋で、邦人さんがすっと立ち上がった。
無表情に静かにこっちに近づいてきたと思ったら、私のベッドの左横に腰かける。
ただ、じっと私を見ながら。
目を離してくれない彼に、私の目から熱いものがじわっと込み上げてくる。
堪えたくても、だんだんと目頭に収まらなくなって、溢れていってしまう。