誘拐犯は私の彼氏!?
「……っ。」
私は今、言い返すこともできない。
真幸の未来は、悔しいけど邦人さん次第なんだ。
朝日が反射して光る水面を眺めながら、邦人さんは静かに語る。
でもその目は、私でない誰かを見ているみたいに、深く暗い色をして。
私の方には見向きもしない。
「…まさかあなたと、この海を眺めることになるなんて。
あの時は思いもしませんでしたよ。
光沙さん。
あなたに伝えておかなければいけないことがあります。
少し、昔話に付き合っていただけますか?」