蔓薔薇
「彼は、とっても優しい人
 だからご心配なく」

イサオさんの言葉に驚く私
・・・彼女は結婚しているの?
  
イサオさんが部屋に入って
いった後、彼女の表情が一瞬
寂しく曇ったように感じたのは
私だけだろうか・・・

ふと、コーヒーカップに手を
触れるアキラさんを見つめた
私は、彼の表情の変化にも
気がついた。

ただひとつ、分かる事・・・

それは、アキラさんが
彼女を愛しているという事。
 
あの日、BARで彼女に寄り添い
微笑みかけ、優しく触れていた
そんな彼の全てから、彼女への
愛を感じた。

私の彼への、この恋心は
片思いでじゅうぶん。
 
何も望んでなんかいない。
 
望まなければ

この手に何も無い・・・
 
何もなければ

裏切られる事はない。
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