時計の針が止まるまで


「機械モンの寿命は短いんだ。少しずつ時間もくるってきてる」


だから朝の時間だけ、きっちり起こしてやるよ。


男はそう行って、制服に着替えた私の頭をわしゃわしゃとなでた。


「この姿で起こされるのは嫌か?」


「嫌……じゃないけど」


これはただの夢?


寿命が近い古くなった時計の形のままだと、針がくるって正確な時間を示せない。


だから人の形になって、朝の時刻だけ知らせてくれるらしい。


目覚まし時計の仕事は人を起こすことだから、と。


こんな不思議なことってあるのだろうか。


私は不思議に思いながらも、いつものように学校へと向かう。


今さっき触れられた手の暖かさがまだ頭に残っていた。


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