starlight
裏切り




先生と別れて、2週間が経った。

あれから何度か理科の授業があった。

授業に出ないと両親に怒られるので、

しぶしぶ出席した。

先生を見ないように、できる限り避けた。

それでも時折先生と目が合った。

先生は何か言いたげな表情をしていた。

私は涙を堪えるのに必死だった。

唯一事情を話した春樹が

心配してよく声をかけてくれたけど、

悲しみと

ものすごい寂しさが消えることはなかった。





「篠宮の親御さん…厳しいらしいな。」

この日私は、学習塾で個人面談をしていた。

この人は…杉浦桐(すぎうらきり)。

1週間ほど前にこちらに

転任してきたばかりで、26歳。

先生と…同い年。











まただ。

また先生のことを考えてる。

もう忘れたいのに…

「そんなこと…無いですよ」

「…俺、頼りないかも知れないけど…
 相談ぐらいのるから。
 お前成績もキープしてるし、無理せず頑張ろうな。」

柔らかく笑う先生。

圭吾とは真逆の印象で、

誰からも好かれそうな人懐っこい笑顔に、

明るい茶色のサラサラの髪。

女子生徒にはもちろん、男子生徒にも人気のようだった。

「ありがとうございます」

「これ…何かあったら…
 ってか無くても、連絡して。」

先生はそう言って私にメモを持たせて、

頭をそっと撫でた。

何だかその紙切れが危ない世界への

切符みたいな気がして…先生を見上げた。









先生は笑顔だった。





だけど目は…













笑っていなかった。





























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