SWEET&HOT~甘いのと辛いのと~
私は呆れ半ばに言い放つ。



「…転校しろ、と?」



「そうだ」



…即答かよ。



私は心でため息をついた。そしてアメスト学園のパンフレットに手をかけ、中を見てみる。



そんな私を見ながら父が言葉を続ける。



「お前は中川家の人間だ。中川家の人間があんな不良の溜まり場にいてどうするというんだ?」



高級ジュエリーショップを全国に何店舗も展開している父親にとって、娘の私が優新館という不良高校にいることは確かに気に食わないことだと思う。



…本当、私の家も嫌味な家だ。



俗に言う日本屋敷。しかも広さが半端じゃない。



というより、高級ジュエリーショップの経営者の家が日本屋敷とは…ギャップがありすぎるだろ。



今私と父がいる居間だって、20畳ある。



私と父の間にある台…家の中で一番小さいやつで、家族でご飯を食べる時は、この何倍も大きくて長い台が用意される。ちなみにお手伝いさんは何人もいる。



…やはり嫌味だ。



優新館高校は、偏差値40…中の下、もはや下かもしれない。



が、私は受験生になる前からこの高校に興味を抱いていた。



どうやら、私は今までと違う物に惹かれるらしい。
< 3 / 34 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop