five
ふと、大きな手が伸びた。

「あーっ!あたしのシュガートーストぉ!」

見上げるとダルそうな顔がかった。


「一個もらうぞ。」

低くて甘いトーンの声に、体が反応する。


「おまえシュガートースト食い過ぎだろう。」

あたしの食べかけのシュガートーストを頬張っていた。


あたしの食べかけなのに…

顔が真っ赤になるのが自分でも分かった。

煙草の匂いが鼻を霞めた。



「センセ、待って!」


あたしは、思わず浅丘先生を追った。


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