氷の女王に誓約を

天才というより化物である。いや、神の領域に達したといっても過言じゃないかもしれない。


兎にも角にも、そんな化物相手に人間の俺が勝てる見込みなど限りなくゼロなのである。


練習とはいえマスコミの人達が入っている会場で、男子の俺が女子の美優に敗れるなんて醜態さらされるかってんだ。


「えー!? いいじゃんやろうよぉ」


「ノーセンキューです」


「ふーん……いいもんいいもん。だったらタクちゃんの恥ずかしい写真をネットに晒してやるから」


嗚呼、いつから彼女はこんな捻くれて性質の悪い性格になってしまったんだろう。


俺の恥ずかしい写真なんて皆目見当つかないけれど、俺が覚えていない小さい時の写真を引っ張り出してくるのかもしれない。


誰だ。一体美優にパソコンを教えた輩は。


自然と溜息がこぼれる。


三流スケーターの俺が、女王様に逆らうことなど出来ないようだ。
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