氷の女王に誓約を

衣装


「二人共、ちょっとこっち来て」


それは全日本選手権を控えた一週間前の出来事。


練習を終えて帰宅した直後、母さんに呼ばれて自宅にある仕事部屋に連行された。


仕事部屋と言っても、空き部屋を利用したもの。


この前見た時は、部屋には所狭しと試作品の衣装が立ち並び、広いテーブルには様々な生地と裁縫セットが広がっていた。


退院したばかりだというのに、せっせっと衣装を仕立ててたっけ。


嗚呼そうか、仕立ててた俺の衣装が出来上がったのか。


試着して最終確認というわけか。


でも、なんで朝飛も呼んだんだ?


疑問に思いながらも仕事部屋に足を踏み入れる。


眼前に飛び込んだのは、淡いパープル一色の衣装。


母さんにしては珍しい配色だ。白とか水色とかピンクとか、如何にも“女の子”という色を母さんは好む。
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