偽りの結婚(番外編)



先程から視界の端に移るもの。

それがチラついてしかたない。

首の裏に添えていた手を上に移動させ…



ファサ……―――――


プラチナブロンドの髪が重力に逆らわず零れ落ちる。

パチパチと目を瞬かせ、何が起こったか分かっていない様子のシェイリーン。




「行っていいとは言ったが……」


髪から取り上げたそれをシェイリーンの目の前に持ってくる。

目の前に持ってきたのは、エメラルドの石が埋め込まれた髪飾り。



「やはり、他の者から貰ったものを身につけているのを見るのは気分が良いものではないな。」

「ぁ………」



コトッ…――――

ニコリと笑って、それをサイドボードへ置く。

そして、ゆっくりとシェイリーンをベッドへ沈ませる。

ギシッ…と重みを感じて鳴るベッド。

窓から射す月明かりに照らされ、白い肌が幻想的に浮かび上がる。

大きく開いた胸に光るエメラルドに、酷く満足感を覚えた。

自分の中にある独占欲に苦笑しながら口を開く。



「誕生日おめでとう、シェイリーン。」


本日三度目となる祝いの言葉。

甘く蕩ける様な口づけを合図に、目の前の愛しい妻に集中する。




家族が増えるのも時間の問題だな…


そう思いながら、甘い夜は更けていった。



≪お酒は20歳から≫  END


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