偽りの結婚(番外編)
「父様、なんで母様は服を着ていないの?」
子供の純粋な問いが胸に刺さる。
「赤い跡も痛そう…母様お怪我してるの?」
「これは怪我ではないよ、レナ。」
引きつる笑顔でそう言いながら布団をかけなおす。
そう言えば…
昨夜はシェイリーンの身体に溺れて無意識だったが、かなり跡をつけたような…
布団を少し持ち上げ、シェイリーンの身体をチラッと見れば赤い跡がちらほら。
いや…かなりあった。
「怪我じゃなかったらなぁに?」
レナの純粋な視線とじとーっと疑いの瞳で見るレオの視線が痛い。
「うーん、そうだね……」
「んっ……」
何と答えようか迷いあぐねていると、シェイリーンが小さな声を上げ、長い睫毛を震わせる。
そして、うっすらと目を開き、エメラルドグリーンの瞳が視線を泳がせる。
何度か目を瞬かせ、起き上がっている自分へとゆるゆると視線を持ってくる。
「おはよう、ラルフ」
ふわりと笑うシェイリーンに、何度見てもこの笑顔の破壊力は本当にすごいと思う。
最近では色気も増し、こちらは気が気ではないのだが。