ジキルハイド症候群



「なに?」

「まだ、終わってないよ?」


肩越しに振り替えると、険しい表情の那祁があたしを見ている。


「終わってない?」

「謝らせてないよ」


亜理砂を見て、那祁は四人を見る。
あたしは、四人を見た後亜理砂を見た。


「………ねぇ亜理砂」

「……」

「謝ってもらいたい?」


亜理砂は、真っ直ぐ四人を見ている。
亜理砂が何を考えているのか、ぼんやりとだけど分かる。


「――――あたしは別に謝ってほしくない」

「亜理砂ちゃん?」


亜理砂は、あたしから離れると、四人に近づいた。四人の中でリーダー格のような子の前に立った。


「な、なによ」


亜理砂は、にっこりと笑うと手を振り上げた。


――――パンッ


乾いた音が響いた。


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