ポリフォニー
なし崩し的にルナを案内することになったアルミナは、どうとでもなれ、と思ってルナに帝都を案内した。
だが、どうしたことか、ルナとそりが合い、アルミナはこの時間を楽しむようになっていた。
そのため、時間を忘れてしまっていたのだ。

「いけない……」

「どうしたの、ミナ?」

「どうしよう、ルナ。私、帰りたくないのに、帰らないと、ルナが殺されちゃう」

「え!?どうしてミナが帰らないと私が殺されることに繋がるの?」

「それはアルミナ様がこの国の姫君であらせられるからです」

「……!!」

いつの間にか、兵士に囲まれていた。

「姫……?」

「さあ、アルミナ様帰りましょう。王国からの使者はもう到着しています。もっとも……あちらもなにか問題がおきているようですが」

「嫌!私まだ結婚とか早いもの!いきなり婚約者がいるって言われても困るわ!」

「だ、そうだ」

そのとき、ルナは、アルミナを守るようにアルミナの前に立つ。
その手には、幻魔の民を斬ったときと同じ剣が握られている。

「ミナを無理やり連れて行くのはどうかと思うん、だっ!!」

ルナはその剣を引きずるようにして走り出すと、兵士の一人に剣を叩きつけた。
その反動でもう一人を斬りつける。
剣をまわす遠心力でもう一人を斬りつける。
そこで剣を中心に構えて、斬りかかろうとした兵士のがら空きの胴へ突きをする。
そこからくるんと剣を縦にまわして、その反動を使って、身体を後ろに向かせ、上から兵士の右肩を叩っ斬る。

いつの間にか、兵士は全て地に倒れ、残されたのは、いかにも文官らしい男一人だった。

「それは、王宮剣術だな。お前、名前はなんと言う」

ルナは剣についた血を払うと、いたずらと明かす子供のように笑って言った。

「ルナ、もとい……ラディウス・ウィズ・クラアルディーナ」
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