ラブレター



「………。」

「……………。」



なんか、いる。

コンビニまで辿り着いたら、
入口のゴミ箱の横にちょこんと人が座っていた。



特に何をするでもなく、
膝を抱えて座るその姿は、さながら捨てられた子犬のようで、
無意識にガン見していると、その子はちらりと目だけでこちらを見る。





「おはよお、ございます。」


舌ったらずで、ぽやんとした声が、
見えない口元から飛び出した。

普通、言うか?
知らないやつにおはようなんて。


ぷっ。
何コイツ、おもれー。






「おはよ!何してんの?」


興味が沸いて、笑いながら話しかけると
男は困ったように眉間にしわを寄せて、ぽつりと呟いた。





「わかんない。」

「だれか待ってるとか?」

「…わかんない。」



えぇ~?
何このコ、不思議ちゃん?



「うーん。えっと…。」

ぐゅるるるる


「……。」
「……。」



「おなか空いてんの?なんか食う?」



笑いをこらえながら、顔を除き込むと、
そいつは真っ赤な顔して俯いた。


か、わい・・・!




去年死んだリンちゃん(犬)
を思い出す(失礼)。

居ても立ってもいられず、おれは膝を抱えていたそいつの腕を引っ張って
無理矢理コンビニの中に引き込んだ。


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