この涙を拭うのは、貴方でイイ。-大人の恋の罠-


柚ちゃんや祐くんみたいには、絶対なれないから。


こんな私は、恋愛には不向きなんだよ…――




「う、…んー?」


フカフカと心地よく身の沈む感じで、ふと覚醒していく頭。


どうやら酔っ払ったまま、メイクも落とさず寝てしまったようだ。


最近の忙しさからまだ寝たりずに、ゴロンと寝返りを打とうとすれば。



「コラ、動くな」


「――!?」

身体を翻ることすら叶わず、ギュッと引きつける力と言葉。


その聞き慣れた重低音と、ふわりと掠める香りが閉じかけた瞳をこじ開ける。


イヤな予感アリアリで、恐る恐る頭上を見上げれば…。



「おはよ」


「ゆ、ゆゆ、祐くん…!?」

バッチリ合致した瞳は、まさかの予想的中で鼓動が大きく脈打った。



なな…、何ですか。

この“一晩明けた男女”的在られもナイ状況は…!


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