この涙を拭うのは、貴方でイイ。-大人の恋の罠-


確かに、ぶっきらぼうだし暴言ばかりで、オマケに暴力的だし。言わずと知れた上司様なんだけど。



「私が、前より…もっと、き、嫌いだから…?」


ここ数日の尭くんの私を受け付けない態度とは、まったく違っていた。



今ならハッキリ分かる。いつだって、その裏に隠れていた優しさがあったコト。


私を見ればアホやバカが口癖のクセに、そう呼ぶ声にあったかさがあったコト。



「…望未、泣いてるのか?」


「うぅー…っ」


ようやくソレへ切り替わった声色が、ボロボロと零れ落ちる涙の量を増やしてしまう。


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