Dilemma

（何がそんなに憎いの？）
（真っ暗な獄中に心を置き
ここで生き続ける
私は私を殺し続ける）

瞳を閉じて
感情の傷を感じる
手術で治せない古傷に
誰も触れることを許さない

貴方の愛が見えても
ここから
人生を始めることは出来ない

存在するのが許されるのは
夢の中だけ
心の外で 恐れず生きていたい


（消せない記憶が
キャパシティ一杯に溢れる
お前を殺すことはしないから
私の前から消えてくれ
これ以上
灰色の砂漠に埋めないでくれ）
（記憶しきれない
悲しみと微笑み
お前の中にいる何人もの人格が
記憶を抱えている
お前のかわりに
血まみれになりながらな）

（解理し再生を繰り返す
お前の頭脳
傷ついた腹の中を叩き切れ
ゴミ捨て場から拾った写真で
記憶を繋ぎ合わせ
過呼吸しか出来ないなら
お前ごとヘドロへ投げ捨てろ）

群青色の薔薇から
息を殺して見つめる
刺のような人の目線
貴方は向こうで
哀れな瞳で私を見ている

血まみれの顔を拭いて
傷だらけの心を縫い合わせて
全ての記憶を統合したい
真実を見つめたい
夢の中じゃなく 現実で

存在を否定され続けた傷跡に
貴方の悲愛をください
命を否定され続けた悲しみに
造花の花束を下さい

私は狂った正気を信じる
私は見えそうな夢を
壊そうとしている
私はどこへ
行こうとしているの？
心を壊そうとしているの？

私は探している
蒼白の先にある光を
ここから見えるのは
涙に濡れた花たちと
夢の中で見た楽園

死と生の間
死線で区切られたこの場所で
明けない闇を見た
堕天使の心にすがる私だ
蒼白な手で私の首筋から
血を流し 心を洗浄する

私は私が誰かも分からない
何が嘘で 何が真実かも
分からない
なぜ生きようとする？
なぜ死ななければ
存在に気付いてくれない？
大切に思われない？
なぜ死ぬことを止めるの？
なぜ心の叫び
感情の悲鳴を聞いてくれない？
無色の愛には
もう耐えられない