雷の薔薇 エクレールローズⅠ
シーラは裏路地へと足を運ぶ。







魔女に会うために。






扉を開ける。錆びた音が響く。恐ろしさが増したが足を踏み入れる。






「ここで願いを叶えられると聞きました…。何でもします。」






「なんでもなんて軽く言わない方がいい。」






暗がりに金色の光が二つ。





体が縮こまる。






フワリと魔女が隣に座っていた。






「名前は?」






「シーラ。」
生唾を飲み込みやっとのことで告げる。






「望みは?」





「弟は人さらいに殺された。私のせいで…。だから…。人さらいに復讐したい。」



「何をくれるの?」

魔女は金色の光をむける。沈黙の跡…。
「貴方の魂と言ったら…。どうする?」
と訪ねる。
シーラははっきり言った。



「人さらいに復讐出来るなら。でも、弟は私を庇て死んだ、私が死んだら弟は救えない…。」







「魂以外で…。てことかしら?」






くいと顎を上げられ金色の瞳が見えた。






「いいわ。シーラ…。貴方の血を貰う。」






赤い唇が釣り上げられ牙が見えた。






少女は震えた。牙が首に突き刺さる。





どれほどそうしていただろうか?






魔女は放した。






「シーラ…。願い叶えてあげる。」






ニヤリと魔女は笑い、シーラは意識を放した。




気がつけば表参道に立っていた。手には黒い羽が一枚。





そして…。見知らぬ小指…。叫び声をあげそうになる。





あぁ…。契約が終わたのだとわかった。






涙が流れた。首に残る契約の跡は消えず、悪魔は傍にいる。魔女の声がした。私のもの…。
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