恋ノ神
被害者と加害者

世の中には、したくなくてもしてしまう恋があるのだ。
例え、それが自分の嫌いな人物でも…

…2017年3月25日

私の神社にやって来たのは、見た目はイマイチで格闘家のような体つきの少女だ。
てっきり彼女が今回の恋の対象かとおもったが、それははずれだった。

『綾織(あやおり)晴(はる)に恋をさせて下さい!』

おいおい、他人かい。
確かに何人かそんな願いをしてくる人間も居ないことはなかったが、こうことは正直余計なお世話なのではないかと思う。
しかし、依頼なのだから仕方ない。
少し悩んでから、まず綾織 晴から探すことにした。
先程の少女は、名札にかいてあった事だが、晴の友人らしい。
彼女らが通っている高校は、古びているのか年代を感じさせる。
学校を見ていると、ふとあることに気付いた。
この学校の生徒を何年か前に担当したことがある。あの死神ちゃんと悪魔君は、元気でいるだろうか?

そんな事を考えながら学校に入って行く。
無理矢理知らない者同士を引き合わせるのは良くないと思い、周りに居る人間を探してみる。もしかしたら晴のことが好きな人間が居るかもしれない。
居ないのがほとんどだが、1%の確率に賭ける。
学校の中を探索してみると、昔の事が余計に懐かしく思える。
もしかしたら、また誰かが図書館に居るのではないかと思って寄り道してみるが、残念な事に当時の図書館はもう閉鎖しており、北側に新しい図書室がある。
何だ・・・と残念そうに声を出した時、先程の依頼人の少女が目の前を駆けて行った。

「晴ー!弁当食べよ!」




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