傷だらけのラブレター
季節は巡り、渦巻き、今は冬の始め。
顔に覆うように揺れる髪の隙間から、息を真っ白にした彼が顔を覗かしている。
――…診察を終え、病院から出てきたばかり。
柱に持たれかかった直也が、真っ直ぐと病院から出てきた私を見据えていた。
『……。』
無言のまま、慌てて直也から背を向けた。
……逃げなきゃ。
よくわからないけど、とてつもなく嫌な予感がする。
今は、直也と話しちゃだめだ。
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