傷だらけのラブレター



だけどそれは、私の早とちりで。



直也は私を置いていったりしないし、どこにもいかない。





――…いかない、はずだったのに。





『…直也……!』




自然と覚えた、直也の携帯番号。



お得意の早打ちで、番号を確かめもせずに通話を押す。





『……。』





…もし、今私が、直也に電話をかけていなかったら。



もし私が、明日に電話を先送りしていたら。




こんなことにはならなかった?


私たちは苦しまずに済んだ?




結局私の気持ちは、いつだって直也を苦しめる。




< 408 / 459 >

この作品をシェア

pagetop