傷だらけのラブレター



『…もう。次は忘れないでね!』




そう言いながら、直也の消しゴムを奪いとるように受け取った私。



視界の端に映った直也は、困ったように、けれども無邪気に笑っていた。



確かに、笑っていたの。




「わかってるって。」




そんな笑顔がまた、私の胸を罪悪感にも似た気持ちで積もらせる。




直也はきっと、私が直也の嘘を見抜いてることなんて知らない。



ましてや、直也の嘘を知っていて、私が騙されたフリをしているなんて、ひとかけらも思っていないんだろう。




―…やっぱり。



直也の嘘と、私の嘘は違うものだった。



< 51 / 459 >

この作品をシェア

pagetop