屍都市Ⅱ
窮地を救ってくれたのには違いない。

迷わず車内に乗り込む鬼島とゴロウ。

「OKよ奏ちゃん、出発!」

「はい!」

何とハンヴィーを運転していたのは、まだ若い女性だった。

何故こんなうら若い女性が軍用車輌を運転しているのか。

疑問が明かされる暇もなく、ハンヴィーは急発進する。

お世辞にも上手い運転とは言えないが、危険地帯を突破できるのだから文句はない。

…何とかゾンビの包囲を抜け出す頃。

「山田さん、引き続き警戒よろしくね」

リーダーらしき女性が、銃撃を担当していた大太りの男…山田に向かって言う。

「はい~、任せて下さい~」

どこか緊張感のない声で山田が答える。

「奏さん、そこを左に」

「了解、夕映ちゃん」

助手席に座っているまだ十代くらいの少女が、抑揚のない声でナビゲートしている。

「あ、ワンちゃん連れてるんですねぇ。小野寺のおじさんも犬好きだったっけなぁ」

後部座席にも十代くらいの少女。

彼女は優しげにゴロウの頭を撫でた。

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