夢幻の姫君

姫君と国民

ずっと思っていたことがあった。

私は生きてて良いのか? という疑問が。

私のせいで健人の自由がなくなり、ののは怪我をした。

あの5人は、私に囚われている。・・・恩返しなんてもう良いのに。

私が消えれば、あの子達は自由になれる―――――

――貴方が消えたら、彼らは幸せではありませんよ――

ハッとして振り返ると、そこには談笑している彼らしかいなかった。
 えっ? 幻聴?

――思念通話ですよ。忘れましたか? 話したいと思いながら話すのです――

聞こえてるの私だけ? じゃあやってみようかな。

――こうですか? 貴方はフォル殿下ですか?――

――・・・そうですね。貴女にフォルと呼ばれるのは抵抗があります。“レン”と呼んでください。あ、様は要りませんよ――

――レン? 幸せではないってどういう事?――

出来るようになったところで最初に言われた事を訊く

――貴女の思考は昔から変わってないんです。鈍感なところとか――

――鈍感?――

――自分に対する気持ちです。貴女は“国王のため”に身を引きましたが、国民は貴女を望んでいた。今も同じです――

今も? それっていったい・・・
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