夢幻の姫君
「あ、あの。何か?」

そんな視線に居た堪れなくなった私は、訊いてしまった。
  
 それで意識を取り戻したらしい国王は、慌てて言う。

「す、すまんな。久しぶりに会ったからじっと見てしまった。美しくなったな、“ハル”」

 “ハル”の言葉に、えっ? ってなった。 

親しかったらしい私の知り合いはみんな“クー”と呼ぶ。
 でもこの人は、こちらでも偽名だったらしい“ハル”と呼ぶ。

チクンッ

―――どうして? どうして胸が痛むの? まるで、寂しいみたいな・・・・・

横を見ると、レンが険しい顔をしていた。初めて見る顔だ。国王が嫌いなのかな?

「・・・・・・本当に、“両親”に似てきたな」
「えっ?」

両親? 私が姫ならこの人達が親のはず。 
 私は、違うの―――?

「お姉さま!!」

考えている間にそんな声が聞こえた。
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