夢幻の姫君

クーと彼ら

目を開けると、懐かしい風景が広がっていた。

「私の、部屋だ・・・」

懐かしい、私の、城内の部屋。

 私とレンの、アキとの思い出の場所。

「春姫様・・・」

ボーとしている私に、戸惑いがちに声がかけられた。

「ミィ、ミリア・・・」

そこにいたのは私の専属侍女の娘。幼いころから一緒にいた、私のよき理解者、友人だ。
 ボーっと見ていた私を見てミィの眉がつり上がる。

ゲッ・・・

「こんのバカクー!! いったい私たちにどれだけ心配かけたと思って!!」
「わーーーゴメンゴメンゴメン!! ちょっ待って。ストップ。落ち着け!!」
「落ち着けるかバカタレーーーー!!」

スイッチが! ミィのスイッチが入った!
 助けてー だれかぁぁぁぁぁ

「落ち着け。ミィ」
「リツぅぅぅぅぅ」

リツが入ってた。コレも私の幼馴染という奴だ。

「リッちゃん!! だってクーが!! アンタ国は!! 長でしょう!!」
「一気に言うな。意味わからんわ!! それとその呼び方やめろ!!」
「どの呼び方かな?」

遊んでる。確実に遊んでる。リツで。
 あ~あかわいそうに。そっちに矛先向いちゃって。私は助かったけど。

「長? えっ? 継承したの!?」
「あぁ、まぁ今では一国の王だ。リツカ王と呼べ」
「「ヤダ」」

ミィと私の声が被った。
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