夢幻の姫君
6章: 真の記憶と彼らの気持ち

両親と私

「とうちゃ~く」

見事家の前に到着。浮いていた彼らを無遠慮に落とす。

ドサッ ゴンッ

落ちた音と変な音がしたが、まあ気にしない。
 人の血を黙って飲むから悪いんだ、こんにゃろー!!

「いってぇ・・・ 落とすなよ!!」
「美羅!?」

隼人の文句を聴いていたら家からお母さんが出てきた。

「お母さん・・・」

知ったことが本当なのか知りたいけど、言葉が出てこない。
 なんて言ったらいいか、わからない。

「・・・全部知ったんでしょう? “クラン”」

ハッと息が漏れただけで何も言えなかった。
 ただただ 視線を彷徨わせる事しか出来なかった。

「中に入りましょう。・・・父さんもいるから」

黙ってお母さんに従った。
 聴けるのが楽しみで、聴くのが怖くて・・・ 

矛盾した心を持つ自分が嫌だった。
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