夢幻の姫君

守るために

最上階にある社長室に私は連れてこられた。
 そこには、

「や、美羅。元気してた?」

「ココ来るなら、俺にも声掛けてこればよかったのに」

優と和哉がいた。優はもちろんだが和哉までスーツを着ている。
 着られてる感がすっごくして、笑えてくる。ぷぷっ

「何? 俺らに惚れた? そりゃそうだよね「そんなわけあるか」

どれだけ、自意識過剰だ。もてるからって。
 皆が皆そうじゃないんだ。図に乗るな!!

「一緒に下にいれば、対象に入ったかもしれませんが、残念でしたねぇ」

健人が小声でボソッと何か言って。何? と訊いたら、何でもありませんよ と言われたので、ほっとく事にした。 頑固だから教えてくれないし。時間の無駄になってしまいますから。

「貴方達が好かれるのはその身の軽さでしょうね。おそらくは」

「身の軽さ?」

どうやら身軽と言う意味で言ったわけではないらしい。そう訊くと、健人は紳士らしからぬ、意地悪な笑みを浮かべた。
 それを見た二人が慌てるが、そんなのを気にすることも無く微笑んだまま言う。

「彼女と長続きしないんです。遊んでる、といいますか……女遊びが激しいんですよ」

「女遊び?!」

「えぇ。大抵の女性はわかって近づいてきますが、知らない子が来たときは悲惨ですよ。少し大変な事になりました」

社の玄関で喧嘩なんて…… と沈鬱そうな顔をしながらも口角は上がっていた。
 遊んでる。こいつも弄んでいる。義理の息子達を。

「ち、違うんだハルッ。これには・・・」

「サイテー」

言い訳にかかろうとした優には軽蔑の目で見た。すでに和哉は窓際のほうでしゃがんでいじけている。 言い訳するならやらなきゃいいのに。
 健人は口を押さえて笑いを堪えている。
すっごい震えてるから。わかるよ。笑っているんでしょ。

疲れた顔をした怜斗達が、彼らを怪訝そうな顔で見るまでその状態が続いた。
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